このシリーズでは、平成11年5月22日より6月20日まで開催した
特別展「白河を駆け抜けた作家たち」で展示した作品を紹介しています。

蒲生羅漢(がもうらかん)『蘭亭曲水図』(らんていきょくすいず)
嘉永6年(1853)
絹本著色
128.0cm×45.0cm
個人蔵
−蒲生羅漢(がもう らかん)−(1784〜1866)

瀑布をともなう遠景の主山、高士が座す水辺の楼閣が描かれる
中景、そして近景には曲水の小川に文雅の士たちが盃を手に試作にふけ
っている様子が描かれています。これは、中国の書家の名士である王義之
(おうぎし)が、永和9年(353)3月3日、41人の名士を蘭亭(中
国浙江省東北部)に招き、曲水の宴を催した故事「蘭亭曲水」を幕末の白
河の画家蒲生羅漢(がもうらかん)が極彩色に描いたものです。

羅漢を始めとする江戸時代の文人画家たちの精神基盤には、中国の古典や
文人達への強い憧憬(どうけい)があり、それらを背景に中国の故事人物
や名勝などを画題として取り上げることが多く、日本の故事・名勝などを
描くことは稀(まれ)でした。

さて、本作品を描いた画家蒲生羅漢は、大飢饉の最中の天明4年(1784)
に白河小峰城下に生まれ、慶応2年(1866)83歳で没した郷土
の画家です。現福島県域での数少ない谷文晁(ぶんちょう)の高弟の1人
でもありました。羅漢は白河羅漢山麓にアトリエを構え仏画を中心として
文人画スタイルの山水・人物画など多くの作品を遺しています。

  〜歴史民俗資料館学芸員 佐川庄司

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