
| このシリーズでは、平成11年5月22日より6月20日まで開催した 特別展「白河を駆け抜けた作家たち」で展示した作品を紹介しています。 |
![]() 『江山春晴』(こうざんしゅんせい) 享和3年(1803)絹本淡彩 84.2cmX27.2cm 白桜文庫所蔵 |
−白雲(はくうん)−(1764〜1824) 春の晴れた日の山と湖の風景という意味の「江山春晴」(こうざんしゅんせい)と題さ れたこの山水画作品は、今から約200年前に白河城下の常宣寺住 職であった白雲上人によって描かれたものです。 白雲は、江戸時代後期の寛政(かんせい)・享和(きょうわ)年間(1789〜1804)を中 心に白河藩主松平定信や江戸画壇の大御所である谷文晁(たにぶんちょう)の指導の もとで、写実的な風景画である「真景図」作品を多く遺(のこ)したことで 知られる画僧です。白雲は画号で、良善(りょうぜん)、逸誉(いつよ)上人という浄土 宗の僧侶名があり、白雲のほかには閑松堂、松堂などの号があり ます。常宣寺のほかに住職を務めた寺院は、須賀川十念寺、白河 東林寺(廃寺)、秋田六郷本覚寺などがあります。 白雲の絵画スタイルは、寛政年間のいわゆる「寛政文晁」を学 んだ様式に最大の特徴がみられます。今回紹介する「江山春晴」 は、その典型的な作品です。画面下部前景の斧劈皴(ふへきしゅん)とよばれる岩 の鋭角的な描写表現、カリフラワー状の点葉樹木、橋を渡る高士 の人物表現、さらに遠景に描かれる硬質の主山表現など、どの部 分をとっても「寛政文晁」様式の特徴がみられます。これらの点 から、白雲がいかに忠実に文晁からその画法を学んだかが観てと ることができます。 白雲は、松平定信による『集古十種』などの様々な文化事業の 必要性から養成された代表的な文晁派画人の一人です。 *集古十種…全国的な調査をもとに、松平定信が編さんした全85巻の 文化財図録集(絵師はカメラマン的役割を担った)。 〜歴史民俗資料館学芸員 佐川庄司 |